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泥華の井戸
点線画像

私がやきものに興味を抱いたのは、平成5年にNHKで放送された辻清明氏の番組「やきものをたのしむ」がきっかけです。この番組の中で特に辻清明氏が地方のやきものと個人作家を訪ねるのが楽しみでした。萩では、三輪龍作と坂田泥華を訪ねています。私は三輪龍作の前衛的なオブジェには興味が湧かず、坂田泥華が井戸茶碗をけろくろでひいている姿が印象に残っています。 清明氏は坂田泥華について述べています。「泥華井戸の異名をとる井戸茶碗でお茶をいただいた。人は真にすばらしいものに出会うと言葉を失う。一服のお茶に広がる至福のひととき。泥華井戸は、大地を潤す慈雨のように深く静かに喜びを広げてくれる。」 また、番組の作品紹介で一瞬見た斑文の花入れ(萩剥離釉窯変鶴首花入れというらしい)が凄くて、実物を見たいと思いました。
後年日本橋の三越に坂田泥華茶陶展を見に行きました。作品はもちろん素晴らしかったのですが、あまりに高価でとても購入できる値段ではありませんでした。バブル全盛期だったのでしょうか。
Blog 焼き物の本(坂田泥華著)で紹介しました本「カラーブックス 日本の陶磁12 萩」の内容は素晴らしく、萩焼を調べるのにときどき千葉県立図書館から借りて参考にしていました。最近この本がオークションで出品されていてなんと300円で入手しました。
 坂田泥華の茶碗に話をもどすと、10年程前に少し無理をしてやや小さめの茶碗を購入しました。この茶碗(冒頭の写真左側)は妻が週に数回使っています。私は妻が一服する姿と茶碗を見て楽しんでいます。しかし、私はこの茶碗で一服したことはありません。下記写真はこの茶碗の内側すなわち見込みを撮ったものです。細かな貫入が入っています。購入時には新品で貫入はほとんど目立ちませんでしたが、長年使っていますとこのようになります。これは汚れではなくて、使い育てたやきもの味わいとしてとらえています。
 自分用の泥華井戸を欲しいと思っていて、最近やっと入手することができました。妻のものよりも一回り大きく、外径15.3cm、高さ9.2cmあります。大井戸と呼べる大きさでしょうか。 高台は十字の割高台になっています。泥華の割高台茶碗は珍しいと思います。本割高台は、裾開き気味で切り込みが斜めに入っているのが特徴です(下記写真参照)。割高台の底と高台わきには白濁した釉薬が大粒状のかいらぎになっていて、大胆な高台の切り込みとともにダイナミックで見所になっています。
全体に伸びやかなろくろ成形で、見込みはとても広くおおらかです。どうしたらこんな風にろくろをひけるのでしょうか。 枇杷色の薄い釉薬の調子が全体の姿にあっていて穏やかで大好きな茶碗です。

坂田泥華 萩茶碗の見込み
 妻愛用の萩茶碗の見込み
坂田泥華 割高台茶碗
 割高台の泥華井戸
坂田泥華 割高台とかいらぎ
 割高台とかいらぎ
坂田泥華の図録と著書
 坂田泥華の図録(平成9年)と著書

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