もぐさ土への期待

10年ぶりに岐阜県瑞浪市の粘土屋さんからもぐさ(百草)の原土を購入しました。もぐさ土は志野や織部に使われる粘土で、この土の善し悪しが やきものの出来に大きく影響します。
この店では もぐさ土と言っても特徴や産地の違いによって18種類もあります。今回は、緋色の発色が良さそうな「桜もぐさ土」を選びました。25Kgで4200円です。私の場合、25Kgもあると 使い切るのに数年はかかります。年1回の大窯による志野の焼成と、年数回程度の黒織部茶碗の焼成にしか使わないからです。
さて、もぐさ原土をはたいて粘土にする作業は自分で行いますが、都会の松戸では行いません。福島県にある山小屋の前の道路で天気の良い日にのんびり作業を行います。私はこの時間がけっこう好きです。
トンカチで原土をコツコツたたいて細かくし、雑草や石を取り除いてふるいに掛けます。そして、バケツに集めた細かい土に水を少しずつ加えて適当な柔らかさに調整します。さらに、土踏み、土練りを行って粘土を造ります。例年ですと庭にある縁台で土踏みや土練りをするのですが、今夏はイノシシが数回出没したことがあり、安全のためベランダで作業を行いました。土踏みで足は粘土だらけ、土練りで手も粘土だらけになりますので、まったく都会向きの作業ではありません。芝生の庭で冷たい水をジャージャー流しながら足指や手にこびりついた粘土を洗い流します。とても気持ちが良いのです。
土練りで砲弾形にまとめ 粘土が完成したらビニールに包んで保管します。この保管の期間も重要です。この時間をかけるほど ろくろ成形がやりやすくなるからです。
この粘土づくりは、やきもの造りの最初の一歩であり、将来生まれてくる「やきもの」への期待が弥が上にも高まります。

