佐伯祐三展 再び

2023年2月に東京ステーションギャラリーにて佐伯祐三展があって妻と二人で行きました。コロナウイルスの上陸から3年間、美術館巡りを中止していました。NHK番組の日曜美術館で本展覧会が紹介されて見に行くことにしました。
実は、2005年 練馬区立美術館の開館20周年記念の「佐伯祐三 芸術家への道」にも行きました。冒頭の写真はこの時のパンフレットと図録です。このとき小学生4年の長男と一緒に見に行き、とても素晴らしい印象を持っていましたが、今回の展覧会はそうではありませんでした。確かに18年前と同じ絵を見ているはずなのですが---。展示方法の違いも影響している気がします。東京ステーションギャラリーは窓のない密閉された狭い空間で、部屋の照明が暗すぎて適当な距離で絵を見ることができませんでした。近くによれば見えるのですが、少し離れると暗すぎて全体像が掴めません。といったこともあって、全体に絵が暗くて陰鬱な印象を受けました。練馬区立美術館では外光を取り入れたもっと広く明るい部屋に展示されていたと思います。
1898~1928年に生きた佐伯はパリに行ってから作風ががらりの変わります。私は、佐伯の自画像や日本の風景画を好きではありません。パリで描かれた絵が好みです。今回の展覧会で印象的なものについて述べたいと思います。
図録番号083 洗濯屋 --- 緑色の壁の色のインパクトが凄い!
085 ノートルダム --- ノートルダムの黒い絵は前回の展示会でも覚えています。
123 工場 --- レンガの色が生々しい。
128 モランの寺 --- キュビスムの影響を受けたのでしょうか。重厚でボリュームのある造形が面白いと思います。
135 モラン風景 --- 絵の解説を読むと坂にイーゼルを立てて描いたそうです。そのためか建物が不自然に傾いています。
114 パリの裏通り、121 サンタンヌ教会 --- 私はユトリロの絵が好きです。そのためか白壁の建物の絵に惹かれます。
東京ステーションギャラリーは東京駅ビルに併設された美術館ということもあって、私たちが訪問した日曜日の昼時にはとても混雑していました。私はできるだけ人がいない場所を探して絵を見ていました。途中から、以前やっていたように印象深い作品をチェックしてメモ用紙にコメントを記入していたら、妻とはぐれてしまいました。その後、静かな館内に「お父さん、お父さん ~」と妻の切実な声が響いてきました。館内の女性の監視員に「あれは私の妻です」というと、順路の途中にある扉を開けてくれて妻の所まで案内してくれました。妻によれば、妻の財布を私が持っていたこともあり迷子になって焦ったそうです。どこかの爺さんが「は~い」と返事をしてくれたと言っていました。
旅先で購入した油絵
冒頭写真の右端 及び最下写真の油絵は、1989年にフランスのシャモニ・モンブランの朝市で若い画家から直接購入したものです。アルプス登山でシャモニを訪れたのですが、登山のパートナーが中学校の美術の教師であったのでこの絵を購入するときに意見を求めたのを覚えています。当時から旅先で絵を見るのが好きでした。今回の佐伯祐三展の図録を見ていたら、パリの町角を描いたものがあって(図録番号98パリ風景や、図録番号102町角の広告)この絵を思い出しました。いずれもパリの町の哀愁を感じます。


