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 冬の茶碗 寒別れ
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今年の冬は 例年よりとても寒く感じました。冬に使う茶碗は お茶が冷めにくく、茶を喫した後も茶碗が暖かく余熱で手を温めてくれるものが良いのですが、必然的に使えるものが限られてきます。 長石釉の志野茶碗はどちらかというと秋に向いていると思うのですが、志野茶碗の中にも極寒に「いいな」と思うものがあります。写真の志野の筒茶碗2碗がそれです。ともに土が焼きしまっていないのが特徴で、そのせいか熱が逃げにくく まるでホッカイロのようです。
 本来、瀬戸黒や黒織部茶碗のような黒いものが冬に向いているを思うのですが、試してみるとなかなか適当なものがありません。そこで、特に冬用の瀬戸黒茶碗を造ることにしました。2021年1月に瀬戸黒茶碗の引き出し焼成をおこないました(写真の右端)。比較的厚造りのこの茶碗は、もともと志野焼成用に素焼き後 絵付けと志野釉を施釉した状態で保管しておいたものです。今回、志野釉を剥いで瀬戸黒釉を掛け直して焼成を行いました。
低い腰から真っ直ぐに立ち上がった筒型の いかにも瀬戸黒茶碗の姿です。瀬戸黒釉は全体に渋い調子です。900℃~1160℃まで還元焼成にして、その後 酸化焼成に切り替えて1190℃で引き出しを行いました。少し茶色を帯びた高台の土には、「石はぜ」が出ていて特徴になっています。これは茶碗が完成するまで全く気がつかなかったもので、全くの偶然の産物です。妻には、決してこの石を採らないように言ってあります。
早速、寒い日に使ってみると案の定、なかなか良いのです。この茶碗の銘を「寒別れ」としました。寒別れとは、節分前に粉雪が舞うことを言うそうです。

瀬戸黒茶碗 寒別れ
 瀬戸黒茶碗 寒別れ
瀬戸黒茶碗 寒別れ
 高台の石はぜ

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