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 コピーの是非とデザイン
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昨年2019年秋に大窯で志野を焼成するために多治見に行きました。帰りになじみの陶芸店でやきもの談議をして作品を見ていると、美濃伊賀のしっくりした花入れがありました。特に、花入れの口縁の雰囲気が良くて素晴らしいと思いました。肩の耳の片方が無くなっていたのですが、私は全く気にしませんでした。窯焚きによってこのようなことはよくあることです。値段もそこそこ高く、印象的な作品でした。
 さて、帰宅してから県立の図書館からたまたま「日本陶磁全集 伊賀」中央公論社の本を借りたところ、桃山陶にまったく同じ姿の花入れが載っています。しかも耳が同じように?取れているのです。これじゃ、わざとキズやひびを入れて「破袋」の水指を作るのと全く同じです。全くもって興醒めしました。
技術や技能を習得するための写しならわかりますが、ベテランの陶芸家には単なるモノマネではなくて、創作や創造的な仕事をしてほしいと思います。オリジナルの耳が取れているならば、是非耳のついた完璧なものを創造して造ってほしいと思いました。
 やきもの造りはデザインする楽しさがあります。私は、志野茶碗を造るときには最初に姿(形)だけをイメージしてろくろ成形を行います。そして素焼き後にその茶碗にふさわしい絵付けを考えますが、これにけっこう苦しみますし、何度もやり直しすることもあります。一方、黒織部の場合には先ずは意匠としての絵付けとそれにふさわしい姿をイメージし、墨で紙に描きます。この作業は将来への期待があって楽しめます。そして、ろくろ成形、素焼き、施釉と絵付け、本焼きと進みますが、完成したものは当初デザインしたものとは異なっています。それがまた面白いのです。

 さて、冒頭の写真のナイフですが、十数年前に私がデザインして造ってもらった「カスタムナイフ」です。当時売り出し中の個人ナイフ作家に製作を依頼したら、すんなり引き受けてくれました。 それからが至福の時でした。ブレード長は意識して長くして、切先の側面を落とし日本刀でいう「冠落造」としています。背中「棟」を刃の方に微妙に傾斜させました。さらに、取っ手の人先指がかかるところに緩い窪みを入れました。なかなか格好いいでしょう。ホールドする部分の長さは私の手の大きさに合わせました。鉛筆で方眼紙に等倍に描いてデザインを終えました。これを作家に送って造ってもらいました。ナイフショーで完成したナイフを受け取ったときの嬉しかったこと。自分がデザインした 世界で一つのナイフが完成しました。

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