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残雪の小白森山(福島県)
点線画像

小白森山は福島県南部の羽鳥湖高原からの臨め(写真の右側の山)、二岐山の南に位置します。ヤブ山ですが、春の残雪期(4月中旬~5月初旬)には残雪が笹ヤブを隠してくれて、しかも山頂へ一直線に伸びる素晴らしい雪稜が登路になります。この時期の素晴らしい山行を約束してくれます。私は4回ほど登りました。
二岐温泉の末端の駐車場まで車で行きます。ここは二岐山登山に起点にもなっています。駐車場脇から登山道に入り樹林帯を登り支尾根にとりつきます。例年4月末ですとこの辺りから残雪が出てきてヤブの登山道を隠します。雪があった方が楽ですね。 やがて、支尾根から小白森山の山頂へ向かう尾根に合流します(下記地図の赤丸印)。実はここは帰路要注意です。行きの登りは何でもないのですが、下りのこの尾根への分岐を意識していないと、そのまま真っ直ぐに降りてしまい遭難しかけたことがあります。 私は登るときに、この地点の雪の上に目印をつけたり、木の枝に赤テープを巻いたりして下るときに分かるようにしています。 残雪期登山の下りは要注意です。何しろ夏道が見えず雪上をどこでも歩けるので迷いがちです。会津駒ヶ岳の下りや尾瀬の燧ケ岳の下りでも迷ったことがあります。残雪につけられた足跡は全くあてになりません。足跡をつけていったらとんでもない場所に降りて迷ったこともあります。登りのときに下りで迷いやすい場所かどうかを確認しておく必要があります。
さて、しばらく行くと蟻の戸渡りという痩せ尾根になります。部分的に幅50cmほどの尾根で左右の谷は深く切れ落ちています。尾根に太い松の木があって休憩するのに良い場所があります。 蟻の戸渡りを過ぎると左手に雪稜があらわれます。尾根沿いに登山道(夏道)はあるのですが、私は山頂まで続くこの雪稜を忠実に辿ります。途中、ブナの巨木が2本ほどあってそれが青空に映えて素晴らしいです。さらに、山頂直下ではブナの根回り穴が見事です。
山頂からの展望は素晴らしく、南には大白森山、那須連山の旭岳や三本槍岳の西面を望みます。北にはすぐ隣の二岐山が大きく、東面にはなだらかな羽鳥湖高原が広がってのんびりした雰囲気です。
春先のこの時期は熊に注意する必要があります。過去、この山で熊に出会ったことはありませんが、帰りの樹林帯では大声を出したり、ピッケルで樹木をたたいて音を出したりと注意しながら下りました。

この機会に二岐山について述べたいと思います。 二岐温泉を起点にする二岐山には幾度となく登ったのですが、ある日を境にこの山へ登るのを止めてしまいました。それは小学生の長男を連れて登頂したときのことです。山頂直下の目と鼻の先に風力発電の巨大な風車とその施設に至る舗装道路が建設されていました。 私は自然の中でゆっくりしたいと思っていますが、この人工物はそういった気持ちに逆行するものでしたし、この施設ができる前の山頂の雰囲気がとても好きだったのでなおさらがっかりしました。よりによって山頂の直下に建設するとは! 山は広いのだから他にいくらでも建設する場所はあったはずです。こういったことは誰かが声を大にして言わないとわからないのかもしれませんね。羽鳥湖高原の住む知人によればこの巨大風車ができてから高原に鳥が来なくなったと言っていました。
私は、古都ドレスデンが世界遺産から外されたのはエルベ川にかかる1つの近代的な橋が世界遺産の景観にそぐわなかったということを思い出しました。

二岐山と小白森山の地図
 小白森山の登山ルート(赤点線)
小白森山のブナの巨木
 残雪期のブナの巨木
小白森山の雪稜
 雪稜を行く(モデルは長男)
小白森山の山頂直下
 小白森山の山頂直下
小白森山の山頂
 山頂までもう少し
小白森山の山頂
 山頂にて

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