万年筆を使う

我々の年代は、中学生になると親から万年筆を買ってもらいました。現在はどうでしょうか?そもそも万年筆を使う機会があまりないのではないでしょうか? 確か、私の長男にも大学入試時に万年筆をプレゼントしましたが、それを使ったのは彼が大学4年生の教員採用試験の時だけだったと記憶しています。
私は人生の節目で万年筆を買うことにしています。川崎駅の駅ビルの丸善で万年筆を見るのが楽しみで、今度良いことがあったら、これを買おうと品定めをしたものです。スティピュラ(Stipula)の万年筆は、長男が高校に合格したのを記念に自分用に購入したものです。
現在、手元には亡き父が使っていたモンブラン(MONTBLANC)のマイスターシュテュック 149、私が最初に購入したウオーターマン(WATERMAN)のレタロン、上記スティピュラ(Stipula)と、長男に贈ったプラチナ 3776があります。万年筆は常時使っていないと、いざ使うときにペン先のインクが乾いてしまったり、ときにはインクが全く無くなっていることがあります。
そこでこれらをちょくちょく使えるように工夫しました。書斎にはモンブランとウオーターマンを置いて文章を書くのに使います。居間のテーブルにはプラチナの万年筆をおいて、TVを観ていて適当な情報があったら書き留めます。寝室の枕元にはスティピュラを置きます。すなわち、万年筆を一か所に集めないで配置をかえて役割分担すると、各万年筆の使う頻度が増えて、知らないうちにインクが乾くこともなく快適に使えます。
私は、普段の生活の中でメモ帳にやることリストをつけています。メモ帳を常に持ち歩き、どんな些細なことでもいいから気が付いたことを箇条書きに書いていきます。このときにできるだけ万年筆を使います。そして、実行したらそこに線を引きます。
夜中にアイデアが出たときにはすぐに書き留めます。明日になったら必ず忘れてしまうので---。このときに暗中で字を書くのに筆圧のいらないスティピュラの万年筆が活躍します。朝 明るくなってからメモを確認するとちゃんと字が書けているのです。
さて、父から譲り受けたモンブランのマイスターシュテュックは、インクの乾きもなくて快適です。しっかりとした書き味でインクの出も良いので、きちっとした文章を書くとき使います。実はこのマイスターシュテュックは2本目です。最初のものは私が大学生のときに父から贈られた146でしたが、明らかに不良品でした。インクがじゃじゃ漏れでキャップを外すと手がインクだらけになります。無理して使うことがストレスになりました。修理も考えたのですが、手間とお金がかかるので質屋に売ってしまいました。
ウオーターマンのレタロンの書き味はしっとりしていて一番自分に合っているのですが、ペン先のインクが乾いてしまっていることが多いため、インク瓶にペン先をつけて 「つけペン」として使っています。この万年筆は過去に3回も修理をしていますが、すべて無料でした。当時、Watermanの万年筆は「永久保証」ということで、タダで直してもらうのに気が引けたのを覚えています。
私のスティピュラはペン先がチタンということもあって硬くて粗削りですが、インクの出が良いので横になったまま さっと書くには好都合です。デザインはいかにも伊太風でいいですよね。
日本のプラチナ3776は、ペン先のインクが乾かない設計になっており使い勝手はよいのですが、いかんせん書き味はヨーロッパのものに比べるとかなり劣っています。針金でぼりぼり書いているようなタッチなのです。もちろん万年筆の書き味は、機種や値段によって違うと思いますが---。
