2022年の志野(1)

2022年正月の新聞に多摩川の川面から飛び立つコハクチョウの姿がシルエットで写っている写真が載っていました。とても美しく印象的な写真だったので、志野茶碗に描くことを思い立ちました。
過去に鶴の絵を描いた志野茶碗を2椀ほど造ったことがありますが、ともに荒川豊蔵氏の絵付けを参考にしました。
墨絵でコハクチョウの姿を描いてみるとなかなか調子が良いので今年はこの絵付けで行こうと決めました(写真参照)。志野茶碗を造るモチベーションがあがって良かったです。
さて、ろくろ成形をしようしたら桜もぐさの粘土がありません。桜もぐさの原土はあるので粘土をつくればよいのですが、この土を叩く作業は都会で行うような作業ではありません。例年 羽鳥湖高原(福島県)の田舎でのんびりと作業していました。わざわざ粘土を作るために福島県まで行くことはないので、今回は岐阜県の粘土屋から原土でななくてすぐに使える粘土を購入することにしました。もぐさ粘土もいろいろと種類があるので、焼締まらない「パサパサ、ポクポクした、もぐさ土の特徴を楽しめる。」という曽木もぐさ粘土を購入しました。曽木は岐阜県土岐市の南東にある町です。ろくろ成形してみると、桜もぐさに比べて土の伸びが良くてろくろ成形がとてもやりやすいことがわかりました。荒川豊蔵氏の志野茶碗のような素直で堂々とした器形を目指しました。
そして、墨絵を参考に素焼きの茶碗に絵付けをしました(下記写真)。
また、最近出版された本「茶の湯の茶碗 和物茶碗Ⅰ 淡交社」に載っていた銘 朝陽という志野茶碗の写しも造ることにしました。この茶碗の特徴は、十字の切れ込みを持つ割高台と、薄い志野釉に胎土の鉄分による緋色が細かく表れているところです。絵はありませんが とても美しい茶碗です。
今年の志野茶碗はコハクチョウの絵茶碗と、銘 朝陽の写しで行こうと思っています。とても楽しみです。


