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 志野 事始め
点線画像

最近、押し入れを整理していたらこの茶碗(上記写真の左)が出てきました。口縁が2か所欠けていたので紅漆で継ぎました。本来なら金継ぎをしたいところですがーーー。将来、高価な金粉を購入したら金継ぎをするつもりです。
 実は、この茶碗 30年程前に安土桃山陶磁の里の薪窯(大窯)で初めて焼成した 私にとっては志野の処女作です。当時は、自宅に窯を持っておらず、七輪を改造して苦労して素焼きを行いました。その素焼き品をカワサキのオートバイに載せて多治見の安土桃山陶磁の里まで運びました。そして、陶房で教えてもらいながら志野釉薬を施釉しました。この志野釉は、鈴木藏氏(のちに人間国宝)が使っているものと同じだそうです。確か、陶磁器意匠研究所の方がこの陶房の指導員も兼ねており、やきもの(美濃焼)のことを懇切丁寧に説明してくれました。
 窯出ししたこの茶碗を見て、「ここでいいものができる! これからも志野を造ろう。」と決意しました。それからほぼ毎年 多治見に通い、この大窯で志野を造り続けています。たまたま地元の放送局が陶房に来ていて、私が千葉県から参加しているということもあって取材を受けたこともありました。
 今見ても 釉薬のクリーム色のしっとりした肌合いがとても良いと思います。口縁の一部や施釉時の指跡に表れているオレンジ色の緋色や、高台部のピンホール(下記写真参考)がいかにも志野らしいですね。 私にとっては、志野に挑み続ける契機になった 奇跡の茶碗です。

なお、写真の青織部の中皿は、初めて安土桃山陶磁の里を訪れたときのやきもの体験で、妻がろくろ成形し、陶房のスタッフが絵付けと施釉をして焼成したものです。伝統を踏まえた素晴らしい絵付けだと思いませんか?初めて訪れた地でこのようなものができたのです。

志野茶碗と青織部皿

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