Menu

 織部筒向付を使う
点線画像

私の家にはやきものがあふれていますが、中には購入してから何年も使わないものがあります。やきもの探訪では使い道を考えずに衝動買いしてしまいます。最近、今まで使っていなかったやきものをできるだけ使うようにしていますが、そのほとんどは本来の使い道ではありません。例えば、益子の村田窯で購入した一輪挿しは布団たたきを立てるのに使っています。また、もともと筆入れとして自作した唐津やきは、寝室に置く小さなゴミ入れとして使っています。
 さて、長年使い道が見つからなかったものに織部の筒向付(写真中央の3碗)があります。これらは多治見の美濃焼園にやきものを見に行ったときにカウンターで見つけたものですが、売り物ではありませんでした。美濃焼園のご主人が、若い陶芸家を指導して造らせた試作品でした。手に取らせてもらうと、織部の緑釉が美しく なかなか良い出来だったのでご主人に頼んで譲ってもらいました。試作品ということもあって、内側の全面には釉薬が掛かっておらず、食器としては使えません。筒向付のうち2つの文様は吊るし柿ですね。裏面には 5角形の丸で花文が描かれています。これら向付の口縁の形はそれぞれ異なっていてなかなか楽しめます。これを造った優れた陶芸家ですが、私がこの向付を入手してから数年後に亡くなってしまいました。あまりに悲しいことでしたのでここではその詳細を述べません。
この向付は桃山陶器のレプリカです。私はこの向付を観るといつも疑問がわきます。当時、この向付にどのような懐石料理を盛ったのでしょうか? 茶碗蒸しは良いかもしれませんが、桃山時代に果たしてあったのでしょうか? 織部の器は汚れやすいので汁物には向かないのでは?と考えています。
 私はこの織部の筒向付について長年使い道を探していました。最近、イタリアの万年筆を購入して寝室に置く万年筆が4本になりました。これらを床に転がしていたのですが見栄えが良くありませんでした。たまたま、万年筆の取説をみていたら「ペンを使用されないときには、常にペン先を上に向けた状態に保ってください。インク詰まりを回避できます。」とありました。そこで、これらの万年筆を入れるために織部の筒向付を使うことにしました。
伝統をふまえたモダンなイタリアの万年筆と 400年前の意匠である織部焼とのコラボレーションです。桃山陶の向付は時代を超えた斬新な意匠ですので、ビビットなイタリアの万年筆のデザインにも負けません。いかがですか?面白いでしょう。
 また、下記写真2枚目の志野の器は30年以上前に購入しましたワイン杯ですが、一度も使ったことはありません。こちらも万年筆を入れるのに使っています。 今後も、いろいろとアイデアを出してやきものの使い道を考えて行こうと思います。

織部筒向付にイタリア万年筆
 織部筒向付にイタリア万年筆
織部筒向付と志野ワイン杯
 織部筒向付と志野ワイン杯

Blog 最近の投稿


分野別(過去の投稿)

 自作の志野 年度別


 旅行


 美術工芸、その他


 やきもの