臥竜池
鼠志野 額皿

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石山の石より白し秋の風   奥の細道 那谷
初雪のように柔らかな白肌と ほんのり紅を敷いたような淡い火色が特徴の志野は 秋にぴったりです。 白い志野は緑の茶とのうつりも良いと思います。

私の収集品から紹介します。と言っても古陶磁は持っておりません。
ここに挙げた現代作家の作品は、私がやきものを始めた頃から茶陶の勉強のため、作陶の参考のために手元に置いたものがほとんどです。 年齢や作陶の経験によっても好ましいものが変化してきました。一概に「志野」と言っても千差万別であることがわかります。
なお、現代の志野は 桃山時代のものとは全く異なります。当時とは土、長石などの材料が違いますし、桃山時代の茶陶を生んだ背景とは全く異なるからです。
(以下、掲載作品のうち品番のないものは売却済です。)

堀一郎作 志野ぐい呑み

堀一郎作 志野ぐい呑み 品番hor02

堀一郎氏の志野の特徴が出ているぐい呑みです。
茶碗のミニチュアといったところでしょうか。 茶碗と異なり 志野のぐい呑みは使うとすぐに汚れてしまうため、一度も使ったことはなく鑑賞用に飾っています。

林亮次作 志野茶碗

林亮次作 志野茶碗 品番hay01

1995年に父と二人で多治見を訪れたときに ながせ通りにあった井筒という素敵なお店にて購入しました。 私が初めて購入した志野茶碗です。
この茶碗の特徴は志野釉の調子にあります。 白い胎土に志野釉が白濁して縮れ ピンホールや緋色が出て変化に富んでいます。 この茶碗は実際の大きさよりも姿が大きく映ります。 その後、たくさんの志野茶碗を見てきましたが、このようなものはありません。

加藤西陵作 志野茶碗

加藤西陵作 志野茶碗  品番sei01

多治見の美濃焼園で購入した茶碗です。
精製された白い胎土に志野釉の縮れがきれいです。 団子の絵も微笑ましいですね。

堀一郎作 志野茶碗

堀一郎作 志野茶碗 品番hor01

大好きな作家のひとりです。円相の絵付もいいですね。 この茶碗も土が赤色に発色しています。特に高台周りは凄いです。 茶碗の姿や口縁のうねりは私の好みではありませんが、妻が時々使っています。

加藤健作 志野花入れ

加藤健作 志野花入れ 品番ken01

志野の花入には名品がないので、今後も探すつもりです。 一度、土岐市美濃陶磁歴史館にて小ぶりの志野花入(桃山陶)に陶酔してしまい、本気で盗もうかと思ったことがありましたが---。 一般的に志野の花入れは派手なので、花との相性がよくないのかもしれません。 実は 私はこの花入れに花を入れたことはないのです。

加藤健作 志野茶碗

加藤健作 志野茶碗 品番ken02

志野作家の中では 加藤健氏の志野茶碗はリーズナブルな値段で購入できることから人気があるようです。
最近の作風は小ぶり、薄造りで私の好みではありません。 私はたくさんの加藤氏の茶碗を購入しましたが、ほとんどを手放してこの一椀のみ残しました。
この茶碗は口縁が厚く、堂々とした造りです。壮年期の作品かもしれません。

加藤清三作 志野茶碗

加藤清三作 志野茶碗 品番kas01

この茶碗は秀作だと思います。
絵付けはなく、緋色で勝負しています。 志野釉は透明に近く、緋色の美しさを引き出しています。 加藤清三氏の志野茶碗は、使い勝手が大変良いです。 手にすっぽり収まります。また、縁の形状や厚みも味があります。 作者の卓越した力量を感じ取れます。

加藤清三作 鼠志野茶碗

加藤清三作 鼠志野茶碗 品番kas02

かつて、土岐市美濃焼伝統産業会館にて加藤清三氏の紅い鼠志野茶碗を見て以来 清三氏のファンになりました。
伝統的な亀甲模様のねずみ志野茶碗です。 上記志野茶碗(kas01)に比べると、さらに口縁が厚く 全体的に重厚な雰囲気です。 私は志野土全体に鉄釉をかける鼠志野をあまり好きではないのですが、この茶碗は手元に置いています。 特に、高台が気に入っています。

久保田耕一作 赤志野茶碗

久保田耕一作 赤志野茶碗 kub01

茨城県下妻の久保田氏を訪問し、直接購入したものです。
紅志野、白萩、唐津の茶碗を手びねりで造ります。 久保田氏の手びねり茶碗はなかなか味があります。 以前かなりの数を持っていたのですが、手放してこの一椀のみ残しました。
書もなかなかで、その場で書いてくれた箱書が素敵です。

豊場惺也作 志野茶碗

豊場惺也作 志野茶碗 品番toy01

人間国宝 荒川豊蔵先生から直接指導を受けた数少ない陶工の一人です。 このためか、作風も豊蔵先生に似ていると思います。
重厚な姿、緋色の美しさ、見込みの「とちん」の跡、高台の削りといい とても良いと思うのですが、 不思議なことにこの茶碗で一服するお茶は おいしいとは思いません。 お茶のおいしい茶碗と見栄えのする茶碗は 異なっているのではないでしょうか? 美濃焼園のご主人は 「お茶碗としては**だが、土は豊蔵氏からのいい土を使っている」とおっしゃっていました。

豊場惺也作 ねずみ志野茶碗

豊場惺也作 鼠志野茶碗 品番toy02

こちらは ねずみ志野茶碗です。 堂々とした姿で 焼きもすばらしいです。 高台の土味も良いですね。 ただ、お茶碗として使うには 口縁が厚すぎると思います。

加藤芳右衛門作 橋の絵茶碗

加藤芳右衛門作 橋の絵茶碗

この釉薬の調子は、桃山時代の志野に近いと思っています(写真3)。
何度か 手放そうと思ったのですが、この釉調を見ると「もったいない」と思ってしまいます。 ところどころに出ているオレンジ色の緋色がきれいです。

若尾利貞作 志野茶碗

若尾利貞作 志野茶碗

若尾氏の茶碗は豪快かつ繊細で大好きです。
この茶碗はかなり歪んでいますが、使い勝手はいいのです。 山の端と月の絵付け、紅い緋色、高台の土味と志野茶碗の良さを味わえます。

若尾利貞作 志野茶碗2

若尾利貞作 志野茶碗2

志野釉が全くの透明で胎土の白色が出ています。 ほんのりとした緋色が美しい茶碗です。 奇をてらわない伝統的な姿だと思いますが、手取りが重いのが残念です。

鼠志野額皿

鼠志野額皿 品番nsi01

この皿は多治見の美濃焼園にて購入しました。 3.11のときに箪笥の上から落ちて欠けてしまいました。 この時の被害はこの皿のみだったので本当にラッキーだったと思っています。 欠けた部分を紅漆で補修しました。金色よりも紅色の方が鼠色にマッチしていると考えたからです。 高い金粉を買えない?という理由もありますがーー
 なお、写真2枚目の陶片は桃山時代のものです。かつて、多治見のいかがわしい骨董屋で購入しました。