冬の和菓子
冬の和菓子

冬茶碗と菓子皿

2025年2月投稿

 冬茶碗
自分で茶碗を製作したり、あるいは焼物製作の参考のために購入したりと沢山の茶碗に囲まれています。もちろん1年中使っているものもありますが、今回は冬に使う茶碗を選んでみたいと思います。後半では菓子を盛る小皿や鉢を特集します。
 冬に使う茶碗はお茶が冷めにくく、器や土のぬくもりが感じられるものが良いと思います。「器形、土、釉調、色合い」がポイントです。 このため、ある適度厚みがあって、器形は筒型や口縁が内側にすぼまっているもの、土は焼締まらないもぐさ土など保温性のある土が合っているのではないでしょうか。あと、焼き具合といいますか、釉薬も溶け切らず柔らかい雰囲気のものが良いと思います。土の感じを味わっていただけるように各茶碗の高台まわりの写真も掲載しました。

白萩釉茶碗 宇田川聖谷

茶を点てて茶碗を手に取ると、しっとりとしたぬくものが感じられます。萩の粗い土と柔らかな白萩釉(藁灰釉)によるものです。

黒織部茶碗 瀧口喜兵爾

黒織部作家のなかで守谷宏一氏と瀧口喜兵爾氏の作品が好きです。本作品は私が入手した瀧口氏の3つ目の茶碗です。桃山陶の力強さ、重厚さを感じます。手の収まりが良くて、高台まわりのもぐさ土の感触がなかなかです。

鼠志野茶碗に梅の花

自作の鼠志野茶碗には掻き落としで梅の花を描きました。焼きが「さくっと」していて、厚い割には手取りの軽い半筒茶碗です。 土、釉調、赤褐色の色合いが冬に使うのには合っていると思います。土味もなかなかです(写真2)。

志野筒茶碗と紅志野茶碗

左の筒茶碗は志野茶碗の中で寒い日に使えるものです。良質のもぐさ土で、筒型の器形とあいまって熱が逃げにくいのが特徴です。薄いピンク色の志野釉は溶けきっておらずカチンとした釉調ではないのがかえって良いのかもしれません。
右の紅志野茶碗の胎土は土岐市の元屋敷窯跡に近い寺の境内で拾った土です。かつて壁土に使われていたものかもしれません。鉄分の粒子が紅色に発色しました(写真3)。

黒織部茶碗

左は自作の茶碗です。太い帯状の口縁はやや内側にすぼまっています。比較的厚い造りですが、もぐさ土は焼締まったおらず(写真2)手取りは良いです。鉄釉は溶け切らず少しカサついていてお茶の冷めにくい茶碗です。
右は瀧口喜兵爾の黒織部沓茶碗です。良質のもぐさ土で茶筅通しで茶碗が温まります(写真3)。

瀬戸黒茶碗

冬は筒型の瀬戸黒が定番です。左は自作です。陶芸家からもらった希少なもぐさの上層土を使って造りました。きめの細かな土味です(写真2)。
 右は北大路泰嗣作の瀬戸黒茶碗です。古色蒼然としたやや硬質の土味が良いです(写真3)。また、内側には釉薬がかからず、胎土が出ている部分があってこの茶碗の見所にもなっています(写真4)。

 小皿や菓子鉢
ここからは菓子を盛る小皿や鉢を特集します。皿だけ展示してもつまらないので、近所の和菓子屋さんの季節の和菓子を盛った姿も掲載しました。可愛らしい小皿もあってなかなか楽しい企画です。

絵志野小皿と深椿

守谷宏一さんの志野小皿で 5枚組です。直径13.5cmの使いやすい大きさです。
和菓子は 深椿という名前です。

萩焼の小皿とチーズ饅頭

以前から気になっていて最近購入した小皿です。萩焼の窯元 泉流山の製品です。可愛らしいマーガレット形で柔らかな枇杷色の器です。4個を注文するときにそれぞれ色合いや焼きが異なるように頼みました。
 写真の菓子は宮崎のお土産の「チーズ饅頭」です。甘さが控えめで味は絶妙です。

萩四方皿といちご大福

皿は吉野桃李作の萩四方皿です。
近所の和菓子屋さんで毎年楽しみにしているのが いちご大福です。小豆と生クリームが控えめな甘さで苺の味を引き立てます。

益子焼四方皿と豆大福

四方皿は村田浩作です。とても使いやすくケーキを食べるときにも使います。定番の商品で1個でも買い足すことができます。
節分の頃の和菓子と言えば豆大福でしょうか。つぶあん、こしあん、塩豆大福と種類もありますね。白くぽってりした形はとても愛らしいと思います。

鼠志野鉢とうぐいす餅

皿は鼠志野の長方形の鉢です。3.11の地震で箪笥の上から落ちてしまい縁が欠けてしまいました。その後、紅漆で補修しました。
妻は昔 うぐいす餅を作ったことがあると言っていましたが、本当でしょうか。