茶碗の高台
私の高台造り
私は、手回しろくろをゆっくり回転させながら、赤松のへらを使って高台を削ります。 高台削りの前に、赤松の木片の先端を和式ナイフでスパッと切り落として使います。 高台けずりは、整形後の土の乾燥が進む中で 削るのに適当な柔らかさまで待ってから行います。 整えすぎず、味のあるものを心がけて削りますが、できたものはどちらかというとカチッとしたものになります。 どうも性格が出てしまうようです。
二重高台と付け高台
私の作品から紹介します。
志野茶碗は特に二重高台が好きです(写真1,2)。
瀬戸黒茶碗や志野茶碗の場合は、一般的な削り高台だけでなく「付け高台」のものも作ります(写真3,4)。
井戸茶碗の高台
ここからは現代作家の高台を紹介していきます。
井戸茶碗(杉本貞光作)の高台の写真です。迫力がありますね。
また、カイラギが激しく きれいです。
2枚目の写真は、萩茶碗(坂田泥華作)の高台です。
坂田泥華氏の茶碗は、すべてが穏やかに造られています。
3枚目の写真は、唐津井戸茶碗(岡本作礼作)の高台です。
西岡小十氏の唐津
西岡小十氏は「私の高台を真似ることはできない」とおっしゃたそうです。 決して良い土とは思いませんが、土味が良く出ている特徴のある高台です。高台脇の釉薬のカイラギが何とも言えませんね。 山田芳裕氏のマンガ「へいげもの」では、古田織部が唐津の器を見て「このネロンとした液の如き灰の釉艶(ゆうえん)に 思わずほおずりとうなるわ」と言っていますが、まさにぴったしの表現だと思います。 2枚目の写真は、唐津皮クジラ茶碗と絵唐津茶碗の高台です。
志野茶碗の高台(1)
志野茶碗は、高台と土味、そして底に回り込んだ志野釉の縮れと焦げも見どころです。
写真は、左から若尾利貞氏の志野茶碗と豊場惺也氏の志野茶碗です。
若尾氏の志野茶碗は全体の形が扁平していて大胆ですが、高台はおとなしいめです。
豊場氏の茶碗の高台は、堂々としていて 荒川豊蔵氏のものを彷彿とさせます。
志野茶碗の高台(2)
ねずみ志野茶碗(加藤清三作)と志野茶碗(堀一郎作)の高台です。
ねずみ志野の高台は 厚ぼったい造りで大胆に削っています。
桃山陶にはこのような高台があります。
堀一郎氏の高台は、暴れていて個性があっていいと思います。
凄まじい胎土の赤い焦げも特徴です。
萩茶碗の高台(割高台)
萩の井戸茶碗(坂田泥華作)と鬼萩割高台茶碗(椋原佳俊作)です。 萩の茶碗には、伝統的に「割高台」があります。 この割高台は鬼萩釉と相まって豪快です。
桃山時代の陶片
桃山時代の黒織部茶碗の陶片です。
高台は丸っこくてキュートです。胎土も良いですね。高台内の〇印は 窯印だと思います。
陶片は面白いので、今後できるだけ写真を撮って来て(もちろん許可を得て)紹介したいと思っています。