春の茶碗
桜もち

春の茶碗と菓子

2025年4月投稿

 春の茶碗
自分で茶碗を製作したり、あるいは製作の参考のために購入したりと沢山の茶碗に囲まれています。春になるとやっと唐津を使いたくなりますね。特に、明るい色調の茶碗、絵付けが春に相応しいものを選んでみました。
また、後半では近所の和菓子店で販売している春の和菓子を紹介します。

絵唐津茶碗と斑唐津茶碗

左の茶碗「銘 桜ふぶき」は、実家の裏にあった桜の木が切られ、その枝の灰を釉薬にして焼成した茶碗です。絵付けは当時3歳の長男が無心に描きました。

唐津古井戸茶碗 丸田宗彦

丸田宗彦氏の井戸茶碗で口径15cm、高さ7.6cmで見込みが広いのが特徴です。平茶碗と井戸茶碗の中間の大きさと言えばよいでしょうか。全体にグレー色で口縁の内側には大きめの粒状のカイラギがでています。昨年、この渋い茶碗に桜の花びらを入れたらさぞかし美しいだろうと思い、桜の開花を待っていました(写真3)。

志野茶碗

自作の志野茶碗の中で春に合うものを選びました。左の碗は桜もぐさ土によって全体にピンク色に発色しています。右の茶碗は曾木もぐさ土を使い志野釉は白濁してややグレー色です。

志野茶碗 加藤重高

Blog「桃山に挑んだ陶芸家の系譜」で紹介しました茶碗です。姿形は加藤唐九郎の志野を受け継いでいますね。高台が小さいのも重高氏の特徴です。志野釉はピュアの白色で緋色はやや落ち着いた紅色です。

備前茶碗 伊勢崎満

備前の茶碗は冬を除いて使えます。この腰高の漏斗状の姿は春に合っていると思いました。硬質の焼きが特徴です。

萩茶碗 田原陶兵衛

枇杷色の美しい陶兵衛粉引と言われるものです。薄造りのこの茶碗は春の訪れにぴったりです。上述の備前茶碗と比べてこの茶碗はすべてが柔らく造られています。

 春の和菓子
春の和菓子は種類が豊富ですね。和菓子屋に行くときには今日は何が出ているか楽しみです。
桜餅、道明寺、うぐいす餅、草餅、柏餅。なお、柏餅の季語は夏とのことです。

桜餅 弥七田織部の器

2月の中旬には桜餅が出ていました。私の母は必ず桜の葉も一緒に食べるように言ったのですが、皆さんはどうしていますか?
器は弥七田織部の四方皿(写真2枚目)と弥七田織部の手付向付(写真3枚目)です。

きみしぐれ 益子柿釉の器

表面に入った亀裂が時雨(しぐれ)るときの空のようだということですが、時雨は秋から冬の雨ですね。 むしろ、黄色が菜の花をイメージさせてくれます。春の暖かさ、命の芽吹きを感じさせてくれる春の菓子ではないでしょうか? 私は、その亀裂が春先の雪解けの頃に頭を出すフキノトウを思い出します。
器は益子の作家 荻原芳典の柿釉線文皿です(写真2)。

イチゴ大福 益子の磁器絵皿

近所の和菓子屋さんで毎年楽しみにしているのが いちご大福です。小豆と生クリームが控えめな甘さで苺の味を引き立てます。
器は30年程前に益子で購入した磁器の色絵四方皿です。絵がとてもカラフルで良いですね。3枚は組皿になっています。もし作家名がわかる方がいましたら教えていただけないでしょうか。

道明寺 笠間の色絵皿

薄めの桜色がよいですね。もち米を使っていてボリュームがあります。
笠間の陶芸店で購入した色絵皿です。粉引きに色絵を施したもので、長年使って粉引きに味が出ています(写真3)。

草餅 会津本郷焼宗像窯

近所の和菓子屋の草餅は手で捻った形で中に餡が入っています。個人的にはシンプルな丸形が好きなのですが---。ヨモギの香りを楽しんでいただきます。
器は会津本郷の宗像窯の伝統的な瑠璃色の皿です。私はこの釉薬のグラデーションが大好きでサイズの異なるものを持っています。