井戸茶碗に桜
唐津茶碗に桜

桜花と唐津井戸

2025年5月投稿

昨年、やっと丸田宗彦氏の古井戸茶碗を手に入れました。全体にグレー色の地味なこの茶碗に桜の花びらを入れたらさぞかし映えて美しいと思い、桜の開花を楽しみに待っていました。

 早桜と唐津古井戸茶碗
2月中旬に家の近くの明治神社の本殿脇の早桜が咲き始めます。毎年、写真撮影に訪れます。天候や光線の向きや加減によって花の写りが変わるため何度も出かけます。3月になって花吹雪になってからピンク色の花びらを集めて古井戸茶碗に入れてみました。

明治神社の早桜(大山桜)

写真1 2024年2月23日撮影
写真2 2023年2月16日撮影
写真3 2023年2月20日撮影

唐津古井戸茶碗 丸田宗彦

この井戸茶碗は口径15cm、高さ7.6cmで、見込みが広いのが特徴です。平茶碗と井戸茶碗の中間の大きさと言えばよいでしょうか。
 全体にグレー色で、口縁の内側には大きめの粒状のカイラギがでています。おそらく、素焼きをしないで釉薬を掛ける”ずぶがけ”をしたのだろうと思います。カイラギの白い粒状を拡大して見ると、沢山の細かな泡が封じ込まれていることがわかります(写真下2)。釉薬が収縮しているので土が露わになっている箇所もあって景色になっています。面白いですね。
 高台まわりは土見せと白いカイラギがきれいにでています。いかにも井戸茶碗としての特徴が出ています(写真下3)。
グレー色の地味な茶碗ですが、抹茶の色が映えてとても良いと思います。また、日光があたるとグレー色の釉薬がキラキラときれいです。粒状のカイラギの白色が強調されます。

 大樹の桜と絵唐津茶碗
私が住んでいる近辺は坂が多く、寺や神社に向かう坂には名前がついています。 御冥坂は明治神社に向かう狭く急な坂で、庚申塔があったりと歴史を感じます。途中の見晴らしの良い丘には小さな墓地があって大樹の桜があり、例年4月初旬に満開を迎えます。家から数分の所にあり、天気の良い午前中にぶらっと撮影に出かけます。
そして、この純白の花びらを自作の絵唐津茶碗に入れてみました。この茶碗の銘は「桜ふぶき」です。ぴったりだと思います。

御冥坂の大樹の山桜

写真1 2023年3月22日撮影
写真2,3 2023年4月10日撮影

唐津茶碗 「桜ふぶき」

やきものを本格的に始めた頃に造った絵唐津茶碗です。 釉薬に桜の灰を使ってもので、土は唐津の陶芸家 松尾宗明氏から購入した土「道納屋谷」で造りました。この土はもう手に入りません。
 私の実家の裏には大きな桜の木がありましたが、宅地造成のあおりを受けて業者によって切られてしまいました。私は伐採された桜の枝を持ち帰り、その灰を釉薬として使うことにしました。茶碗として残すことによって永遠に桜の木が残る気がしました。この茶碗を見ると2階の窓を開けて目の前の桜ふぶきを見ていたすがすがしい自分を思い出します。
絵付けは当時3歳の息子が自由に描いたものです(下写真2)。子供は無心に筆を動かすことができます。益子の窯出しの時に地元の陶芸家がこの絵付けをたいそう褒めてくれました。
こんな茶碗ですので、桜の花びらを入れて鑑賞するのにぴったりだと思いました。

 枝垂れ桜
松戸市南花島の春日神社には枝垂れ桜があり、開花時に合わせて写真を撮りに行きます。素晴らしい枝垂れ桜にも関わらず、ほとんど人に会ったことがありません。

春日神社の枝垂れ桜

少々寂しげな境内に桜の木があります(写真2)。
2023年3月20日撮影