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明る寂の信楽
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明る寂(Akarusabi)という言葉は、私が私淑する陶芸家 辻清明(Tuji Seimei)氏が信楽焼の焼肌を表現するのに使ったものです。 最近、まさに明る寂の信楽茶碗を入手しました。ネットオークションで作者不明の茶碗(箱書つき)で出品されていました。
先ず、オレンジ色の焼肌に明るい自然釉がかかっていて素性の良さを感じました。 そして、古い虫食いのある箱に記された箱書のサインと消えかけた陶印を見たときに「もしかしたら!」とぴんと来ました。 私が所有する「聖」の写し伊賀花入の箱書と同じものでした(下記写真)。それは、杉本貞光氏が立花大亀老師から「寺垣外窯」の名前を受ける前「紫香庵、水月」を名乗ったいた頃の作品だったのです。 陶印も一致していることを確認しました。
 私は素朴なこの茶碗がとても好きです。見込みには自然釉はなくて胎土がむき出しですが、そんなことは気になりません。長石が胎土にめり込んでします。いかにも信楽の土です。そして、白をベースにした良質の胎土にうっすらとオレンジ色の緋色が出ていてとても美しいと思います。 高台はやや高さがあって粗い削りも特徴です。
この茶碗は全く使われた形跡がなくて、長年 虫食いの箱の中に眠っていたものと思われます。 私はこの茶碗をどんどん使って明る寂を育て、将来「信楽に会ったが100年目」と言えるようになったらいいなと思います。
今回のように埋もれかけた作品を発掘して見出すのは、焼き物愛好家としてとても楽しいことです。

伊賀花入と箱書
伊賀花入の箱書がヒントに
自然釉と緋色の正面
自然釉と緋色が美しい正面
自然釉が掛かる面<
自然釉が掛かる面
高台の削りと胎土
高台の削りと胎土
見込みに食い込んだ長石
見込みに食い込んだ長石
内壁の様子
内壁の様子

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