唐津は土にこだわる

最近、唐津の焼き物を使っていて思うことがあります。
それは「唐津は土が本質」ということです。
一般的に焼き物は「一焼き、二土、三細工」と言われていますが、私の場合は一土になるようです。
何故そう思うようになったのか、きっかけは唐津のある有名作家の湯呑みを購入して使ったことです。人間国宝を輩出しているその作家の作風は好きではなかったのですが、斑唐津釉が素晴らしいので購入してみました。
ところが、この湯呑みの土は精製された雅味に乏しい土が使われて味気ないものでした。同じ唐津の湯呑みでも丸田宗彦氏のものは癖のある土が使われており土味を感じます。この差は大きいのです。飲む茶の味も違うように感じます。普段使いの湯呑みですらそうなのですから茶陶の茶碗はその違いは顕著であると思われます。唐津は土が命というのが私が出した結論です。いくら釉薬が窯変しようが、ちじれていようが、土味がなければ良いものとは思えないのです。
冒頭の写真2枚目の茶碗は土に特徴のある唐津茶碗です。左は丸田雄の唐津茶碗。父の丸田宗彦氏と同様にいかにも唐津の土が使われています。釉がとても薄く、その焼肌はまるで六古窯の猿投山の須恵器を彷彿とさせます。茶碗正面にこげがあって見所になっています。(下記に詳細写真あり)
右の茶碗は安永頼山の山瀬茶碗です。こちらも釉が薄く土の色が出ています。唐津の山瀬地区で採取した土を使っていると思われます。
この2碗は土味に特化した極端な茶碗です。釉調とか、姿形はあまり重視されていないため一般に面白みに欠けるのでしょうか。2碗ともに安価に購入できました。
私の茶碗選びや茶碗造りは続いていくと思いますが、唐津について言えば経験から指針ができてあまり間違いはないと思っています。





