晴陶雨読の日

前回のBlogに書きましたように、最近 黒織部茶碗造りのモチベーションが高く、週に1回はろくろ成形を行うようにしています。天気の良い午前中に実家の2階のベランダで、粘土の菊練り、ろくろ成形、乾燥、そして高台削りまでを行います。このベランダは南に向いていて日当たりが良く建物が北風を防いでくれるので冬でもぽかぽかしていて気持ちよく作業ができます。
実家の前は神社の裏手にあたり、ときどき近くの保育園の園児が神社の境内に遊びに来てにぎやかになります。ちなみに私の長男もこの保育園を卒園しました。
私の場合、ろくろで茶碗を引くとき棒引きではなくて1個引きを行います。茶碗1個分の土(700~750g)を手回しろくろの中心に置いて成形します。ろくろは直径50cmほどの鉄製のものです。先ず、土を円錐形の形に手でたたきます。次に円盤の周辺にある穴に木の棒を差し込んでろくろを勢いよく回します。土の上げ下げを何度か繰り返してから親指を中心に入れて下から上へ伸ばします。手回しろくろは慣性で回りますが、すぐに回転が落ちてしまうので何度も繰り返し作業をします。内側から茶碗の形に拡げたら、口縁、見込みを丁寧に整えます。そして、しゃっぴき(切り糸)で底を分離します。
ろくろ成形したものを日当たりに良い場所に置いて乾燥します。1時間ほどしてから高台つくりを行います。ろくろに土の台をおいて上面を茶碗の見込みに大きさに合うように平にしてから布をかぶせます。茶碗を逆さまにして見込みを布の上に置いて、中心出しをしてから高台を削っていきます。削るには木や竹のへらを使います。すべて自作のもので、削る前に和式ナイフでエッジを鋭利にして使います。
高台削りは神経を使いつつ整えすぎないことが大切だと思っています。高台は茶碗の極めて重要な鑑賞ポイントだからです。特に、二重高台が好きです。
一度に茶碗を2碗ほどろくろ成形をします。以前は3碗作っていましたが、のんびりゆったり造るには2つがちょうど良い。朝9時に作業をスタートすれば昼前には片付けをして終了できます。こうして毎週2碗づつ造り11月から12月に黒織部、志野茶碗8碗づつ成形しました。
来年の大窯で焼成するための志野茶碗の粘土には曽木もぐさ土に桜もぐさを混ぜて使いました。数年前に桜もぐさ土単味で成形したとき、この土は *さくい ためろくろ成形が難しくなかなか思うような形になりませんでした。そこで、今回は粘りがあってろくろを引きやすい曽木もぐさ土を混ぜて使うことにしました。この時、漠然とろくろ成形をするのも良くないので、志野茶碗の絵付けを構想してそれにあった姿形をイメージして成形をすることにしました。下記に志野茶碗の絵付けの下書きを掲載しました。
こんな調子で気長にやるのが自分には合っていて晴陶雨読の日はとても心地良いのです。
* さくい-- 粘土としての粘りがなくてかさかさの状態で成形が難しいことを表現しています。


