花いらず

古伊賀の花生に銘 芙蓉(Fuyou)というものがあります。一般的には擂座(Ruiza)花生という範疇で、朝顔のような上を向いた口縁、肩には小さな擂座(鋲のような半球状の粒)が五つ付き、ふっくらとした胴部は裾に向かってすぼまり 縦の櫛目がついており、底部は分厚い円座が特徴です。
芙蓉の花生は「花不用(Hanairazu)」とも言われているように、花を入れなくとも花生だけで飾れるという意味のようです。この堂々とした花生には、下手な花入れでは花が負けてしまうといったところでしょうか?
2023年10月に五島美術館で開催された古伊賀展でも、古伊賀の擂座花生が2点(No.13, No.14 下記写真)が出展され、その堂々とした姿に感銘を受けました。いつか伊賀か、信楽の擂座花入を手にしたいと思っていました。
そして、とうとう入手したのがこの美濃伊賀の擂座花入です。以前も書いたことがありますが、美濃伊賀は美濃の土、釉薬を使って伊賀焼の意匠を真似たもので、本質的に伊賀焼とは別物だと思っています。
古伊賀は良質な木節粘土を用い、炎によって自然釉の流れや、ビードロが鮮やかものから黒く焦げて寂びたものなど個性豊かです。「破格の造形美」と言えます。
一方、美濃伊賀は伊賀焼の意匠や焼き肌を目指してあの手この手と技巧の限りをつくします。例えば、伊賀焼の自然釉の流れを長石釉を掛けて表現し、黒焦げを鉄釉で表します。また、伊賀花生と同様に押印(四角の中に丸いドットのあるマーク)があちらこちらにあってアクセントになっています。
私は一生懸命に伊賀を目指すこうした美濃伊賀の焼き物が大好きです。こういった観点から本作品を観るとかなり頑張った花入だと思います。
6月の羽鳥高原で野の花を入れてみました。小さなキンポウゲ、フランスギクとあせびで黄色と白色が主体です。それでも、花を入れると見栄えがしますね。





