田中一村展 @千葉市美術館
NHKの日曜美術館で田中一村の作品が紹介されて、千葉市美術館のコレクション選「田中一村と千葉」の展覧会を観に行きました。田中一村(1908~1977年)は千葉市に20年住み、50代になって奄美大島に移住し亜熱帯の植物、鳥や風土を題材にした日本画家です。
私は奄美大島時代の独特でビビットな作風よりも千葉市に住んでいた頃の農村風景などの郷愁を誘う作品が好きです。
千葉市美術館へは初めての訪問で、大きく堅牢な建物にびっくりしました。特に建物を支え、建築デザインの特徴にもなっている丸柱の太いこと。
以下、展示作品について気が付いた点を述べたいと思います。なお、()内の番号は購入した図録*「田中一村 千葉市美術館収蔵全作品 2021年」に掲載されている作品番号です。
●白梅図 (2)--- 一村が16歳のときの作品でモノトーンで粗いタッチで描いてします。
私の長男が小学生の頃に油絵で描いた梅の花を思い出しました。
●千葉寺麦秋(35) --- 大胆な松の筆致がすばらしい。バックには千葉の麦畑と海が広がっていて開放感があります。下に写真があります。
●千葉寺晩秋(32)--- すーっと伸びる1本の杉の線。こんな線が描けたらいいなと思います。白色の点ですすきを表現していますね。下に写真があります。
●白い花(85)--- 横長の大作。一村の代名詞的な図柄らしい。右上の隅の白い花はヤマボウシ、左上には太った鳥(トラツグミ)を配しています。題名が不自然だと思うのは私だけでしょうか。冒頭の写真(2枚目)の上が本作品です。
その後、別の本**で調べたところ、昭和22年に画壇へのデビュー作品になったオリジナルは二曲一双の屏風の大作であって、本作品はその一部であることがわかりました。昭和30年に欄間用の額に仕立てたものだそうです。
●牡丹図(23)--- 掛け軸の作品。花が大きく描かれ、淡い紅色がなんとも好きな色合いです。
●葱坊主 --- モノトーンの作品で、ネギに見えなくもない。ネギ坊主がちょこんと乗っている。太く堂々とした葉は見事で絵付けの参考になります。私も松戸の畑でネギ坊主を描いたことがあり、難しくて断念しました。
●野梅 --- 梅と杉林と山が描かれています。この作品は好きです。梅の花は小さな丸で描き、すぐに花だとわかるところが良いですね。下にパンプレットの写真の一部を掲載しました。
●柘榴図 --- 私の家の庭にはザクロの木があって、焼き物の絵付けによく描きます。
この絵は開いたザクロに細かな実まで描かれていて「上手だ」と思いました。
●燈籠のある参道 --- モノトーンの濃淡で描く作品で夜霧の空気感を感じます。この作品も好きです。
●奄美冬彩(126)--- 亜熱帯地方の崖下に咲く白、黄色の花々。
●清宵(43)--- 掛け軸の作品。松の古木の幹に梟が描かれる。背後の光輪がアクセントに。この絵はいいですね。
下にパンフレットの写真の一部を掲載しました。
美術館に行って絵に感動し刺激を受けることは、私にとって もの造りをする上で大切なことだと思っています。
**参考書籍 「もっと知りたい 田中一村」大矢鞆音著 2010年東京美術発行