ツーリングへの誘い GP (GIRARD-PERREGAUX)
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ジラール・ぺルゴ社(以下GPと記載)は、日本の歴史と深い関わりのある時計メーカです。幕末の1860年に、GPの創業一族の一人で時計師のフランソワ・ぺルゴは、開港後間もない横浜へ降り立ちました。スイス時計の日本市場を開拓するためです。しかし、当時の日本の時刻は、江戸時代から続く不定時法(一日を昼と夜に分けそれぞれを等分するやり方)であったので、ビジネスはうまくいかなかったようです。その後、日本は明治維新を経て 1872年(明治5年)に定時法(グレゴリオ暦)を導入したこともあり、スイス時計のビジネスは成功しました。フランソワ・ぺルゴは、1877年(明治10年)、43歳という若さで日本の地で倒れ、横浜外国人墓地に眠っています。なんて、ロマンのある話でしょう! ぜひ、歴史小説家にフランソワ・ぺルゴを描いてもらいたいと思います。

写真のクロノグラフ(GP7300)は、私が長年 IWCのGSTを探しているときに出会った時計です。当時は、金色のベゼルが派手過ぎて抵抗感があったのですが 少々無理をして購入しました。ところが、年齢を重ねるにしたがって金色に対して逆に愛着を持つようになりました。どうも私が選ぶ時計は偏っていて、ホワイトの文字盤に金色のインデックスのものが多いのです。私は、この時計を自動車ツーリングの時に着けます。
長男が新潟県上越市の大学におりましたので、上越市でソフトテニス大会があるとよく自動車で応援に行きました。朝4時に松戸を出発して、関越道の谷川岳パーキングエリアで休憩した後、六日町で関越道を下ります。六日町からは「ほくほく街道」という山岳道路をひたすら西に向かいます。ツーリングにふさわしい大好きな道路です。豪雪地の十日町で信濃川を渡って、いくつもトンネルを通って松代(まつだい)へ、松代からは高原地帯で高速コーナーが連続するワインディンクロードです。途中に、美しい棚田を俯瞰できる場所があって 休憩を取ります。特に4月頃ですと多くの写真愛好家が雪に覆われた棚田の写真を撮っています。さらに西に下っていくと見渡す限りの田園風景になって上越市に入ります。上越市までざっと5時間くらいでしょうか。テニス大会の開会式に間に合います。 帰りは、六日町高原ホテルや 越後湯沢の東映ホテルに一泊して、温泉とおいしい食事を満喫してから帰宅します。魚沼産コシヒカリのおいしいこと。長男が在学中の4年間は、季節を変えてよく通いました。このときに身に着けていた時計がGPのクロノグラフ 7300です。新潟県は、家族にとって第二の故郷になりました。
 このクロノグラフは、バランスのとれた素晴らしいデザインだと思います。3つのインダイヤルの位置が、時計中心から比較的離れたところにあるのが良いですね。外周の60分の文字、インダイヤルの60秒、30分、12時間の文字にさりげなく赤色が使われていてアクセントになっています。LOGOは、MANUFACTURE GIRARD-PERREGAUXというこだわりの表記です。大胆なパターンで厚みのあるメタルブレスレットもこの時計に合っています。 この時計のムーブメント cal.2280は、57石、28.800振動、45時間パワーリザーブといった仕様です。ただし、オーバーホール代金は修理業者によってかなりバラツキが大きいので 注意が必要です。
さらに、GPのクロノグラフでもう一つ注意することがあります。皮ベルト仕様のものは、汎用のメタルブレスレットを取り付けられません。ラグ内側のばね棒を入れる穴が特殊な位置にあるためです。したがって、できるだけメタルブレスレットのものをお勧めします。こういったことはカタログには載っていませんし、購入してみないとわからないことです。

六日町から望む八海山
 六日町から臨む八海山
使い込んだGP7300
 妙高山を望む上越市のテニスコート
使い込んだGP7300
 使い込んだGP7300