IWCの時計
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「陶工の精神を持つ時計」 この広告は1991年に読売新聞社から発行された「日本のやきもの1」に掲載されたものです(下記写真)。
私が初めて購入したスイス時計がIWCのポートフィノ(Portfino)です。当時もIWCの時計は高価で、本当はカレンダー付のものが欲しかったのですが値段があまりに高くて買えませんでした。現在でも3針の時計の中では一番のお気に入りです。白磁のような文字盤に最小限のバーインデックスとバトン針。まさにシンプル時計の白眉です。ケースサイドの丸みを持った曲線も可愛らしい。リューズはこの曲面に半分隠れています。この時計の極めつけは、極細の筆記体で描かれた美しいLOGOではないでしょうか。IWCの文字の下に「International Watch Co. Schaffhausen」と描かれています。その後のモデルでは、この筆記体のLOGOは無くなってしまいました。

さて、時計を1つだけ選べと言われたら迷わず選ぶのが、IWC GSTクロノグラフです(上記写真の右)。実用的なクロノグラフで、質実剛健なこの時計が大好きです。その雰囲気は、IWCの工場があるシャフハウゼン(Schaffhausen)がドイツに近いせいかもしれません。この時計の文字盤は白っぽい銀色ですが、目を凝らすと表面が細かな梨地になっています。IWCの白色の文字盤はとても魅力的です。
実は、ポートフィノを購入したときに付いていたIWCのカタログでこのGSTを知ったのですが、手に入れるまでに数年かかりました。GSTの黒文字盤タイプは比較的流通していたのですが、白文字盤はお目にかかれませんでした。インターネットを使ってすぐに商品を検索できたる現在とは違って、時計関連の雑誌もまだありませんし、時計店に足を運んでみないとその時計があるかどうかもわかりませんでした。たまたま会社の帰りに立ち寄った有楽町の時計店で見つけたのです。しかも新品を!
 時計を身に着けていたトータルの積算時間で言えば、この時計が最も長いと思います。人生の節目で必ずこの時計をしていました。例えば、ベンチャーでの仕事がうまくいかずに途方に暮れたときや、網膜剥離で左目を失明しかけて緊急の手術を受けたときもそうでした。したがって、この時計のベゼルは傷だらけです。単に賞玩するにとどまらず、私にとっては最も信頼できる相棒でもあります。

IWCの広告とポートフィノ
 IWCの広告(1991年)とポートフィノ(右の時計)
ポートフィノのロゴ
 ポートフィノの美しい筆記体のLOGO