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別れの茶碗
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長年の収集によりやきものがずいぶんと溜まってしまって、基本的に使っていないものを整理することにしました。 その中には思い出がつまっていてなかなか処分する決心がつかないものがあります。
 今回紹介しますのは林亮次さんの志野茶碗です。この茶碗は1995年に多治見市ながせ通りにあった井筒という陶芸店で購入しました。私が初めて購入しました志野茶碗でもあります。当時、井筒という店はとても広くて有名作家のものを中心に伝統的な美濃焼きを取り揃えていました。女性店員は着物を着ていて格式のあるお店でした。加藤孝造氏が人間国宝に認定される前だったと思います。
 仲が悪かった父親と一泊二日で多治見を訪れたときにこの茶碗を購入しました。夕食はすこし高級なウナギの専門店の個室で、かば焼きを食べました。肉がなくて皮ばかりのウナギで「関西では、かば焼きはこういうものなのか?」などと二人で話したことを覚えています。仲の悪い親子が何故二人だけで旅行に行ったかというと、こういった機会はなかなかないからと母が後押ししてくれたのです。後にも先にも二人で旅行したのはこれっきりになりました。 1日目は岐阜県陶磁資料館でやきものを見学したり、ながせ通りの陶芸店で美濃焼を見て楽しみました。翌日は私の案内で虎渓山永保寺を参拝しました。父はもともと寺参りが好きで御朱印帳を持ってきていました。たぶん喜んでいたと思います。
そんな思い出のある茶碗ですが、ここ数年使ったことはありません。そろそろ手放す頃かと思い、茶碗の写真を沢山撮ってこちらを残そうと思いました。メルカリに出品用の写真を撮るために箱から茶碗を出したら、箱の底から写真が数枚出てきました。虎渓山永保寺での父が写っています。そして若き日の私の姿がありました。 出品しましたが、未だ売れていません。ときどきスマホでチェックしながら売れていないことに実は安心しています。
冒頭の写真左のぐい呑みは小林武春の作です。井筒で茶碗を購入したときにおまけとしてつけてくれました。


ろくろ目、ピンホールや緋色
ろくろ目、ピンホールや緋色と変化に富む
緋色の美しい口縁
緋色の美しい口縁
ざっくりしたもぐさ土
ざっくりしたもぐさ土
ぐい呑みと志野茶碗
ぐい呑み(小林武春)と志野茶碗

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