夏の「会津の冬」
2024年9月投稿
盛夏の7月末に会津柳津の斎藤清美術館に行きました。
斎藤清の木版画のなかで大好きなのが「会津の冬」シリーズです。斎藤清美術館ではこれらの版画を当然 冬に展示することが多く、関東に住む私は豪雪地である冬の奥会津に行くことはなかなか大変で機会がありませんでした。私は他の季節に展示してほしいと切望していました。
今年(2024年)は7月~11月にかけて「再考・会津の冬」の企画展を行っています。しかも2期に分けて作品を入れ替えるという大規模な展示です。
会津柳津駅にて
せっかくなので、只見線の列車の到着時刻に合わせて会津柳津駅に向かいました。
時刻表を見ると、午前中の会津川口・小出方面の列車は2本しかありません。
山間の駅舎は白いペンキで塗られていてとてもきれいになっていました。
到着した2両の電車からは若い人が5人ほど降りてきました。みなさん旅の装いです。
駅前
最近買い替えた車と背後は蒸気機関車です。
赤べこの案内板があります(写真2)。
駅舎の風景
駅舎はピュアな白色です。駅名の文字には味があります。
8時42分の会津川口行きの2両編成の列車です。前の車両は緑と白のツートン、後ろはオレンジ色でした。
会津の冬 斎藤清美術館
今回見に行った企画展 第Ⅰ期(7/20~9/8)は「雪に、抽象を見た画家」というサブタイトルがついています。
第Ⅱ期は9/14~11/10の予定です。
今まで本や図録でしか見たことがない作品の実物を観られてとても良かった。版画の大きさは基本的には2種類で通常は38×53cmのものが多いのですが、なかには会津の冬(35)八木沢のように横長で大きく迫力のあるものがあります。
私は画面のうち雪の部分(余白の白からの構成される)が多いものに惹かれます。構成のうまさと言いましょうか、なかには画面の半分以上余白からなる作品もあります。いくつか印象に残った作品を挙げ、感想を述べます。
会津の冬(35) 八木沢
この作品は横長で46×91.5cmもあります。民家の屋根に積もった雪の質感が素晴らしいと思いました。暗く静かな会津の冬の情景です。
写真は本展示のパンフレットから撮影したものです。
会津の冬(3) 中野
この作品は画面の半分近くが余白(雪)で構成されていて、中央下の二人の水汲みの配置が絶妙だと思いました。
元旦の初めに汲む水を若水と言い、正月にこれを酒がわりに飲むことは1年の無病息災につながるそうです。
写真は購入したポストカードを撮りました。
会津の冬(6)
冬の薬師堂を描いた大好きな作品です。薬師堂は子育ての神さまとして農村で信仰されています。 楽しむ「会津と蒲生氏」の館薬師堂の章でも述べましたが、会津では幼児二歳のとき "二ツ子詣り"として薬師様を詣でる習慣があります。
会津の冬(53) 下牛尾
この作品もほとんどが余白の白(雪)で構成されていて、川の流れが雪の中に消えていく様が印象に残りました。
版画の体験コーナーとビデオ
斎藤美術館の中央ロビーには素晴らしいロケーションのもと版画の体験コーナーがあってポストカード大の台紙に2種類の版画を製作することができます。これがとても楽しいです。
版木とカラーインクが準備されていて、順番通りに版木にインクを塗って台紙に押していくと、カラー版画を完成できます。大人がやっても楽しいので、ぜひ子供達にも体験させてほしいと思いました。
また、ビデオコーナーもあり、斎藤清が会津の冬に写生している様子が放映されていました。
当時の会津の子供達が興味深々に写生をしている斎藤清に寄ってきます。
その子供達はまさに斎藤清が版画に残した「会津の子供」そのものでした。当時の子供の服装や木箱の橇が写っていて楽しめます。
このビデオは一部しか見ていないので、次回は全てを観ようと思っています。
完成したカラー版画
こんな素敵なものが簡単にできます。左右は使用した版木です。
写真2--室内からは只見川の土手のむこうに赤い鉄橋を望みます。
只見川
斎藤清美術館のすぐ脇の只見川の土手に上がると素晴らしい景観を楽しめます。写真を夢中で撮っていたら、暑いさなか熱中症ぎみになってしまいました。
美術館の隣にある道の駅でアイスコーヒーを飲みました。最高に美味しかったです。