冬の茶碗と和菓子
2024年1月投稿
冬の茶碗
自分で茶碗を製作したり、あるいは焼物製作の参考のために購入したりと、沢山の茶碗に囲まれています。もちろん1年中使っているものもありますが、今回は冬に使う茶碗を選んでみたいと思います。後半では、近所の和菓子屋さんで販売している冬の和菓子を紹介します。
冬に使う茶碗はお茶が冷めにくく、器や土のぬくもりが感じられるものが良いと思います。「器形、土、釉調、色合い」がポイントです。
このため、ある適度厚みがあって、器形は筒型や口縁が内側にすぼまっているもの、土は焼締まらないもぐさ土など保温性のある土が合っているのではないでしょうか。あと、焼き具合といいますか、釉薬も溶け切らず柔らかい雰囲気のものが良いと思います。土の感じを味わっていただけるように各茶碗の高台まわりの写真も掲載しました。
白萩釉茶碗 宇田川聖谷作
茶を点てて茶碗を手に取ると、しっとりとしたぬくものが感じられます。萩の粗い土と柔らかな白萩釉(藁灰釉)によるものです。
志野茶碗に梅の花
左の鼠志野茶碗は掻き落としで梅の花を描きました。焼きが「さくっと」していて、厚い割には手取りの軽い半筒茶碗です。
土、釉調、赤褐色の色合いが冬に使うのには合っていると思います。土味もなかなかです(写真2)。
右の志野茶碗はピュアな白色の筒茶碗でやや厚手のつくりです。胎土は粗くて焼締まっています(写真3)。
ともに2重高台です。
志野筒茶碗と紅志野茶碗
左の筒茶碗は志野茶碗の中で寒い日に使えるものです。良質のもぐさ土で、筒型の器形とあいまって熱が逃げにくいのが特徴です。薄いピンク色の志野釉は溶けきっておらずカチンとした釉調ではないのがかえって良いのかもしれません。
右の紅志野茶碗の胎土は土岐市の元屋敷窯跡に近い寺の境内で拾った土です。かつて壁土に使われていたものかもしれません。鉄分の粒子が紅色に発色しました(写真3)。
志野茶碗 銘大筒
大きな筒茶碗です。志野釉はカチンとしていますが、とても保温性のよい茶碗です。そして手取りも良いです。それはもぐさ土の特性かも知れません。焼成時にヒビが数か所あってしかも表裏に貫通していたので、見込み側に紅漆を塗って補修しました。
黒織部茶碗
左は自作の茶碗です。太い帯状の口縁はやや内側にすぼまっています。比較的厚い造りですが、もぐさ土は焼締まったおらず(写真2)手取りは良いです。鉄釉は溶け切らず少しカサついていてお茶の冷めにくい茶碗です。
右は瀧口喜兵爾の黒織部沓茶碗です。私はこの土味が大好きです。保温性のある良質のもぐさ土です(写真3)。
瀬戸黒茶碗
冬は筒型の瀬戸黒が定番です。左は自作です。陶芸家からもらった希少なもぐさの上層土を使って造りました。きめの細かな土味です(写真2)。
右は北大路泰嗣作の瀬戸黒茶碗です。古色蒼然としたやや硬質の土味が良いです(写真3)。また、内側には釉薬がかからず、胎土が出ている部分があってこの茶碗の見所にもなっています(写真4)。
冬の和菓子
近所に家族でやっている和菓子屋さんがあります。今日は何が出ているか楽しみです。冬はいちご大福、豆大福、うぐいす餅といったところでしょうか。春の訪れを感じられるものが良いですね。
いちご大福
毎年楽しみにしているのが いちご大福です。小豆と生クリームが控えめな甘さで苺の味を引き立てます。
皿は吉野桃李作の萩四方皿です。
豆大福
節分の頃の和菓子と言えば豆大福でしょうか。つぶあん、こしあん、塩豆大福と種類もありますね。白くぽってりした形はとても愛らしいと思います。中の豆はエンドウ豆を塩で煮たもの、あるいは黒豆でしょうか?
シンプルな豆大福は和菓子の王道ですね。
皿は村田浩作です。
うぐいす餅
妻は昔 うぐいす餅を作ったことがあると言っていましたが、本当でしょうか。
皿は鼠志野の四方皿です。3.11の地震で箪笥の上から落ちてしまい縁が欠けてしまいました。その後、紅漆で補修しました。
写真3は守谷宏一氏の志野鉢です。
くずもち
私はくずもちが大好きです。幼少の頃よく母が出してくれた思い出があります。今でもスーパーに置いてあるとついつい買ってしまいます。ねっとりとした黒蜜と黄粉の組み合わせが絶妙ですね。
器は岡本作礼さんの絵唐津向付です。