オミクロン株への対応 
CoronaVirus19 in Japan (8)
点線画像

2022年1月に入って日本国内でも新型コロナウイルスのオミクロン株が急速に拡大しつつある。1月5日の東京都1日あたりの感染者数は390人になった。さらに1月17日には1日あたり3719人に拡大した。ここで強調したいのは、昨年8月の状況、つまり自宅療養者という自宅放置された事実を踏まえた早急な対策である。
 政府は、3回目のワクチン接種と錠剤タイプの新型コロナ抗ウイルス薬を対策の柱として掲げているがはたして間に合うのか? 厚生労働省は、メルク社の「モルヌピラビル」を昨年12月24日に承認し、12月27日より全国の医療機関や薬局に配布している。そして「自宅療養者に対して、医療機関が患者の最寄りの薬局にファックスなどで処方箋を送り、薬剤師が電話やオンラインで患者に服用方法を指導したあと、薬が運送業者を通じて配送される。」といった運用指針を出している。しかし、根本的な問題があるのではないか?
 モルヌピラビルは、発症してから5日以内に服用することが推奨されており、処方は時間との戦いである。しかし、現在の保健所を介する運用体制では無理がある。なぜなら、症状が出て電話のつながらない保健所に連絡してPCR検査の予約で1日、PCR検査を受けて結果が出るのに2日、陽性がわかって医療機関で検査するのに2日とすれば、モルヌピラビルを入手するのに5日もかかってしまう。保健所がひっ迫すれば処方が遅れて重症化する人は増える。すでに埼玉県の保健所では自宅療養者にパルスオキシメータが届かなかったり、自宅療養の健康観察ができていないといった保健所のひっ迫状況が1月18日のTVで報告された。
 オミクロン株の感染拡大によって自宅療養者が増加するのは必至である。昨年8月のような自宅療養と言いながら医療を全く受けられない状況をいかになくすのかが本質的な課題である。そこで、神奈川県や八王子市の運用体制が参考になる。
「八王子市は、入院や受診の調整を担う司令塔を保健所から独立させ、医師がつくる約十人のチームを設置。病院側と平日は定時オンライン会議を開き、情報共有をした。東京新聞1月17日付より」すなわち、入院か、自宅療養の判断を医師が速やかに行う。こうすれば、モルヌピラビルの服用も迅速に行えるはずである。
政府、及び厚労省、さらに東京都や県はこういったことを考えて、各市町村や保健所を指導すべきである。保健所にすべてを丸投げするのは無理があることはすでにわかっているのではないか? 市町村が工夫するにしても医療機関、保健所との連携が必要である。このために政府、厚労省、東京都は体制の指針、指導案を提示すべきである。効果のない「まん延防止等重点措置」に政治的にしがみつくだけでは打開できない。どのようにすれば国民の命を守れるかを真剣に考えてほしいと思う。
 ファイザー社の「パクルロビド」については12月22日にアメリカのFDAが緊急使用の許可を出し、韓国政府は12月27日に緊急使用承認を承認した上で76万人分の薬を確保している。日本の承認はいつになるのか?今後注目していきたいと思う。

また、沖縄をはじめ日本国内の米軍基地内の新型コロナウイルスの感染が拡大し、それが各県内に波及しているのは明らかである。米軍まかせのずさんな感染対策の背景になっている、日米地位協定についても政府は早急に交渉すべきだと思う。 水際対策の「ざる」がこんなところにあったとは、誰も思いもよかなかったのでないだろうか?
幸いにして本HPを見てくださる海外の方も多い。今後も日本の現状を発信していきたいと思っている。