東京オリンピックとCOVID-19 
Corona Virus19 in Japan (7)
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東京オリンピックが開催され、毎日の熱戦をTVで観て、楽しく 感動の渦に包まれている。アスリートにとって本当に良かったと思っている。もともとアスリートファーストの大会のはずであったが、開催までは政府やオリンピック組織委員会のおかしな対応が目立った。

さて、東京ではデルタ株と言われる新型コロナウイルスの変異株が拡大し、猛威を振るいつつある。 2021年7月27日の東京都の新規感染者は2848人、重傷患者数は78人、入院患者数2864人である(朝日新聞7月28日版より)。 さらに、基本的に医療を受けられない「自宅療養者数」は5991人、「入院・療養調整中の人数」は2324人に膨れ上がっている。 以前にも述べたが、「自宅療養者」は、処方箋もなく、基本的に医療を受けられないに等しい状態に置かれる。保健所からの連絡だけでは不安である。また、同居家族がいる場合には家族に感染させてしまうリスクが極めて高くなる。自宅療養ではなくて「自宅待機」「自宅放置」という言葉が適切だと思う。あるファストドクターは1日あたり1000件の訪問依頼があると言う。重症患者数や入院患者数は、いわば氷山の一角であって、その底辺には多くの医療を受けられない人々がいることを認識しておかなければならないし、国や自治体はその対策を早急に講じなければならない。
 政府は東京都、沖縄県に「緊急事態宣言」を、近隣の埼玉、千葉、神奈川と大阪に「まん延防止など重点措置」(以下、まん延防止と記載)を発令しているが、相変わらず新しい方策を打ち出していない。そもそも、過去の経験から「まん延防止」は全く効果がないことは明らかである。こういった宣言や措置と、ワクチン接種だけで何とかなると考えていることに危機感を感じる。感染者が急増している60歳未満のワクチン接種は遅々として進んでいない。特に、経済活動の主体である若者への接種は最後の段階にまわされ、一体いつになるのであろうか? 政府や自治体は何らかの方策を早急に打ち出すべきである。考えられる方策はいくらでもある。
 たとえば、飲食に関しては、店舗の「換気」を正確に規定すべきである。地下室や窓が一か所しかない部屋は要注意である。空気の流れのシミュレーションを用いて科学的に評価することができるし、部屋の二酸化炭素を計測することもできる。 飲食の酒類提供の停止や夜8時までの時短要請については、一人での飲食であれば、店舗での対策(一人用に仕切ってあること)を条件に緩和することができるのではないだろうか?
また、ワクチン接種をするとワクチン接種券にシールが貼られる。このシールの貼られた接種券をスマホで写真に撮ってワクチン接種の証明書とすることができるはずである。この証明書はいろいろな場合で使うことができる。その使いかたは 運営者に委ねるのが良いと思う。なぜなら、接種しない人もいるからである。接種しない人は、必要に応じてPCR検査をして陰性を証明することができる。この接種の証明などは、イベントやスポーツ観戦の際の入場の確認、店舗、旅行や飲食でも使うことができると思う。新しいアプリケーションやソフトウエアを必要としないのも良い点である。
国や自治体が新しい運用に際して導入するアプリケーションやソフトウエアに関して不備が多い。これはなぜかと言うと、丸投げする側の経験や技術的な力量が無いからである。依頼する側が、アプリケーションの仕様書、検査内容、検収内容を書面で正確に規定していれば、多くのトラブルは避けられるのである。依頼する側にアプリケーションの開発経験者を入れることが解決につながる。厚生労働省の新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)は、リリースする前に検査すらしていなかったということを聞いて唖然とした。検査をしないで検収をOKしてしまったのだろうか? 一般の企業では考えられないことである。
このように課題を認識できればいくらでも改善する点はある。 私はオリンピック観戦で感動した後に、とんちんかんな総理の会見を聞くと落差が大きくてがっかりしてしまう。本当に日本を、国民を守ろうとしているのであろうか? もはや「緊急事態宣言」だけでは不十分で、できることを片っ端から実践していって、結果として少しづつ良い方向に向かうことを期待するしかない。 だから、自治体は創意工夫をしてできることをコツコツやっていってほしいと思う。繰り返すが、考えられる方策はいくらでもある。

幸いにして本HPを見てくださる海外の方も多い。今後も日本の現状を発信していきたいと思っている。