教訓を生かせない災害対応
本欄への投稿はなんと1年半ぶりです。いろいろと書きたいことはあったのですが、ご無沙汰してしまいました。
3.11.の東日本大震災などの多くの教訓があるはずなのに、今年2024年元旦に起きた能登半島地震の政府、自治体の対応を見てどう思いましたか?
被災された方々にも申し訳ないのですが、災害への緊急対応、その後の復旧についても後手後手でダメだと思いました。そして、このままでは今後の災害に対しても同様なのではないでしょうか。
3月になっても水道が復旧していなかったり、自治体では自主避難している人の人数すら把握できないというのですから。
一方、4月3日の台湾東部のでマグニチュード7.7の地震に対する対応はびっくりするほど早かったのです。翌日の4日には避難場所にテントが設置されて避難された人々はストレスのない生活ができるようになっていましたし、インフラ 特に道路の復旧を地元が業者が駆けつけて最優先に進めていました。この差はいったい何なのでしょうか?
この機会に日本の災害対応の問題点を指摘し、対策について考えてみることにしました。
1.初動の現状把握に時間がかかる
各自治体に現状把握を丸投げしているのに問題があります。現状把握ができなければ、自衛隊の出動要請(県が行う)をできず後手後手になります。現状把握、つまり、被災した場所、被災した人々の現状、そしてインフラのダメージです。
日頃 緊急性の乏しい業務に従事している自治体の人々にこのような業務を委ねること自体に無理があります。緊急性の高い仕事に従事している人々とは誰でしょうか。有事を想定している自衛隊、救急車の搭乗員、消防士、それに救急医療に携わる医師、山岳警備隊などではないでしょうか。県が現状を把握してから自衛隊に派遣要請するプロセスに明らかに時間がかかっていまい、助かる人の命 例えば倒壊した建物の中にいる人々を死なせてしまっているのです。
先ず、現状把握を迅速にできる体制を構築する必要があります。
例えば、県に災害対策部をつくり統括するのです。災害対策部は日頃からいつ、県内のどこで災害が起きても対応できるように準備します。この部門は自衛隊などから有事の情報収集のノウハウを学ぶのが良いでしょう。台湾に学びに行っても良いですね。それを具体化して各自治体に落とし込みます。自治体を指導するのです。状況把握の全責任を県が担います。各自治体は具体的な施策にもとづいて行動します。
2.ディジタル機器の活用
例えば、マイナンバーカードを用いたディジタル情報で被災地の状況を把握できるようにしたら良いでしょう。
安否確認、現在の場所、被災状況や緊急度のクラス分けといった情報を1つのツールを使ってできるようにするのです。スマオやPCはもちろん、コンビニなどの端末を使って簡単に入力できるようにするのも良いですね。こういったアプリケーションの開発はデジタル庁が開発、管轄し、県に支給します。
特に過疎地については世帯ごとに専用のスマホを貸与するのが良いと思います。そして、日頃からスムーズに情報伝達ができるように訓練するのです。こういった指導も県の災害対策部が行います。
災害になるとSNSなど多くの情報が飛び交います。こういった情報を整理、管理する施策や技術も必要です。こうなると県や自治体では無理で、デジタル庁が台湾の事例を参考に行うべきです。政府は、国がやるべきこと、県が行うことを整理すべきです。すべてを自治体や被災者に丸投げすべきではないのです。
3.水とトイレの問題
仮の給水施設(給水車両も)は県の災害対策部が準備しておく必要があります。今回の地震で水道の復旧がままならず、自宅に戻れない人々がいかに多かったことか。移動式トイレ(トイレトレーラー)の準備も県の災害対策部が行います。
移動式トイレ(トイレトレーラー)、給水車両は各県が最低1台所有するように国が定めたらどうでしょうか。被災地の近県からトイレトレーラーや給水車両を持ち込むことが可能になります。各自治体で所有すればかなりの数を確保できます。また、災害時だけでなく、県や自治体主催のイベントでも使いアピールします。品川区が購入予定のトイレトレーラーは1台 3,000万円とのことです。
5月1日現在、石川県では約3000人が仮設住宅に入りましたが、未だ4600人が避難しています。依然として倒壊のおそれがある危険な場所が残っていました。3780戸でいぜんとして断水していました。水道復旧の作業をTVで見ましたが人海戦術でもどうにもならない手間暇のかかるものですね。それよりもお金をかけて給水設備や給水車両を充実した方が迅速で良いのではないかと思いました。
◎ 復興について思うこと
先ず、インフラの復旧が第一です。次に復興でいつも感じることは、被災したがれきの山を撤去したり、住むのが困難な家屋や建物を撤去して更地にするのにかなり時間がかかっていることです。事業や商売をしていた被災者は、時間がかかり、しかも目途が立たないのに耐えられないと言います。更地になっていれば、お金の問題はありますがあとはどうにでもできるのではないでしょうか。
この被災した場所を更地にする工事についても、県の災害対策部が中心になって方針を策定して各自治体に概要を説明しておくのはどうでしょうか。被災してから右往左往するのではなくて、あらかじめシミュレーションをしておくことが重要です。
例えば、日頃から地元の建設業者との連携を強化して緊急時には官民一体となって動けるようにするとか。重機の保有数を把握しておくとか。また、重機を使って自衛隊ができることを把握しておく必要があります。
毎回、同じことを言いますが、政府は将来に向けた建設的な議題を提示して議論して欲しいと思います。裏金の一部を地元のための給水車やトイレトレーラーの購入にあてるといった政治家はいないのでしょうか。