海洋プラスチック問題の本気度
皆さんは海洋プラスチックごみ問題を身近に感じたことはありますか?
私はやきもの造りをやっていて「これか!」と思うことがあります。土練りを終えた粘土をビニール袋に入れて数年保管しておくと、ビニール袋はボロボロになって風が吹くと細かなチリになって飛び散るようになります。また、釉薬をプラスチックのバケツに入れて保管していますが、5年くらい経つとそのバケツがバリバリ割れるようになり、さらにその割れた切片は粉々になります。こういったものが、海中に浮遊していて底に溜まっているということではないでしょうか?
私がこのVoice欄をつくり投稿を始めたきっかけは、まさに海洋プラスチック問題なのです。
以前に、この問題について意見をまとめて新聞の投稿欄に応募したのですが採用されず、時間をかけてまとめ、推敲したのにも関わらず時間と労力が全くの無駄になったと思いました。そこで、その文章を自分のHomePage上でVoiceとして発表することを思い立ちました。しかし、当時 コロナウイルスが中国から上陸して間もない頃で必然的にコロナウイルスについて書くことになってしまいました。
その後、新聞の社説に論説委員による海洋プラスチックゴミ問題の記事がのりましたが、私がかつて応募したときの内容を超えるようなものはなくてがっかりしました。
若い(前)環境大臣には大いに期待していたのですが、残念ながら「レジ袋の有料化」にすり替えられてしまった感があります。やらないよりはやった方が良いと思うのですが、本質的な解決にはならないことは、多くの方が気が付いていると思います。ちなみに、レジ袋がプラスチックゴミに占める割合は1.3%とのことでした。
私が住んでいる松戸市では分別収集が徹底されていて、「プラスチックなどのゴミ」の回収日は週2回です。そのゴミの中身を見ると、弁当や惣菜のプラスチック包装や、食品のパッケージがほとんであることがわかります。ということは、これらのプラスチックゴミを低減することが問題の本質であると思います。
そこで、1つの方策があります。私は、消費税が10%(食品は8%)になる前にこういった対策を提案してもらいたかったと思っています。プラスチックゴミを出さないパッケージ(例えば、紙の包装紙)と商品、製品の組み合わせについては、認定してマークを付け、消費税を軽減するということです。たとえば、紙の包装であれば、消費税を8%から4%にするといったことです。こうすることによって、消費者は消費税の安い商品を購入することになるし(また、環境問題に貢献しているという意識も生まれる)、生産者も売れるためにパッケージを工夫することになるから、相乗効果によってプラスチックゴミを低減することができるのではないでしょうか。
具体的には、紙の包装紙をつかった野菜や卵、テイクアウト時の紙パックの牛丼などいくらでも工夫できそうです。
実はこういったことを2019年に友人に話したことがあります。海外経験の豊富な友人は、そういった取り組みは、すでにアメリカのある州では行われていて、紙の包装紙の食べ物は税が免除されているとのことでした。海外でできていることが、日本ではなぜできないのでしょうか?こういったことを日本でやろうとすると、省庁間を横串にする戦略が必要になります。各省庁をまとめあげる強いリーダーシップが問われることになります。だからこそ、前環境大臣には期待していました。
さて、2022年4月から施行された「プラスチック資源環境推進法」についても、やらないよりはやった方が良いと思いますが、本質的な解決にはなりませんね。なぜなら、削減に向けた目標設定や提供の見直しを事業者に義務づけた12品目はストローやフォーク、ホテルの剃刀、くし、ハンガーなどといったもので、我々が日頃消費するプラスチックゴミに対するその割合は低いと言わざるを得ないからです。
海洋プラスチックゴミ問題の本質に迫る方策を考えて、実行してほしいというのが、私がVoice欄を作った契機でもあります。
コロナ対策もそうでしたが、政府、各省庁(自治体の長も)のやっている感を演出するだけのパフォーマンスにはうんざりしています。本気度を見せてくれるリーダーを期待しています。