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とがった茶碗
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メルカリに出品された唐津の茶碗を購入しました。箱はなく、作家名も表示されていなかったのですが、その出品者は同時に多くの田中佐次郎氏の茶碗や皿を出品していたことからこの茶碗も同じ作家だと思っています。なお、茶碗に陶印はありません。
 さて、この茶碗は釉掛けの卓越した技能を見ることができます。どうしたらこんな風に釉薬を掛けられるのだろうか? 以前、辻清明氏が茶碗の釉薬掛けで変幻自在に掛けているのを観たことがあり、まさにそんな感じなのです。 茶碗の側面には釉薬を掛けていない窓が3か所も開いていて胎土を観ることができます。また、別の側面には釉が波打ったように掛かっていて、まさに葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の荒波のようです。これは凄いと思いました。
さらに、高台の兜巾(Tokin)がかなり尖っていて、茶碗を手に持った時に兜巾にかかる指が痛いのです。「どうだ」と言わんばかりに! このように、いわゆる "とがった茶碗"なのです。もちろん茶も美味しい。
 私は唐津の作家の中で、比較的斬新のものを造る(辰砂の花入れやルリ天目茶碗の色彩がそのように感じる)田中佐次郎氏の作品を好きではなくて敬遠していたようです。 かつて、焼き物探訪で唐津焼の作礼窯を訪れたときに岡本作礼さんの運転で山瀬の里にあるそば屋に連れて行ってもらいました。そのとき、ちらっと門柱をみて田中佐次郎の陶房がここにあることを知りました。標高が700mの山奥にあったのです。残念ながら、訪問しようという気はありませんでした。
この茶碗が田中佐次郎氏の作品かどうかはわかりませんが、これを機に佐次郎氏にも注目していこうと思いました。

老舗の洋品店
釉薬が掛からない部分を造る
路地を進むと中根寺
荒波を想起する釉の流れ
万満寺にて
尖った兜巾とカイラギ

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